Grand Hyatt Berlin
(グランド ハイアット ベルリン)

Marlene Dietrich Platz 2, 10785 Berlin, Germany
TEL:49-30-2553-1234  http://berlin.grand.hyatt.com

 ● 2009年8月21−22日

 新宿のハイアットリージェンシー東京が、かつてセンチュリーハイアット東京という名で営業していたころ、ハウスカード会員になっていた。名称変更のときにハイアット ゴールド パスポート会員になっておいた。
 旅の全行程において豪華ホテルに泊まるほどの経済力は持ち合わせていない。コストパフォーマンスの高いホテルに泊まりながらも、一泊は奮発して豪華ホテルに泊まることにしている。
 ヨーロッパまたはドイツらしいホテルといえば古城ホテルが思い浮かぶが、今回の道中には存在しない。だから首都ベルリンで豪華ホテルに泊まることに決めた。世界に展開するホテルチェーンよりもドイツらしいホテルをと探した。戦前の外観そのままに再建されたケンピンスキーという名が見つかった。結構な価格だ。ヨーロッパには階級社会が厳然と存在するなどと聞くと、気後れしてしまい、躊躇した。
 先の会員カードを思い出し、サイトで調べてみると、かなり合理的な価格で泊まれる。都内のパークハイアットやグランドハイアット、そしてオークラ東京よりも安い価格だ。そのうえボーナスポイントも付く。このポイントは国内でも使える。同行者と割り勘にできる。そして、ここを予約した。「結局、アメリカ資本だね」と知人に笑われた。
 Zoo駅からHbfへ。そこから開通したばかりの地下鉄55号線に乗る。二駅だけの路線だ。連邦議会駅、ブランデンブルク門駅が終点。乗り換えのために別のホームに移るとそこはウンター・デン・リンデン駅。一駅乗るとポツダム広場駅。そこからは徒歩でホテルへ。

■チェックイン
 玄関にドアマンはいない。ロビーアテンダントと思われる人間は他の用件中らしく、わたしたちには見向きもしない。そのままキャリーバッグを転がしてフロントへ。

 予約票と会員カードを提示する。レジスターカードはすでに印字されており、署名欄に記入するだけ。Berlinの地の文書にKAJIROという地名が記録されたのだ。パスポートは求められず。友人は「会員カードはスゴイ信用力ですね」と言った。
 じつは、他のホテルは予約サイトで予約したが、ここはホテルサイトで直接予約した。定価の半額以下という廉価な代わりに、キャンセルはできないプランだ。身内に高齢者を抱える身にとっては賭けの気分になる。普通は予約成立の確認メールがすぐに届くのだが、それが来ない。しかし会員としての個人ページを見ると、予約は入っている。問い合わせを日本の窓口にしようと思っていたとき、迷惑メールの中にホテルからのメールを見つけた。「一週間前の」予約確認のメールだった。指示されたURLをクリックすると、「これで予約が確定しました」と表示された。昔の飛行機のリコンファーム」のようなものなのだろう。確認をしなかったら、予約は取り消されていたのだろうか。



 案内なしに部屋へ。11:00前でチェックイン時刻にはだいぶん間があったが。カードキーをかざすと階ボタンが反応する。一度体験すれば忘れることはない。エレベーターホールからだいぶん歩いたところで客室係に出会う。Room No. を告げると、もう少し先と教えてくれた。日本だったら、わずかの距離でも先導してくれただろう。

■ランドリー
 部屋に入ってすぐ、ランドリーサービスを頼む。Express だ。夕刻までに部屋に入れておくという。その通りにされた。         
■客室
 これだけ離れていれば、男二人でも気になるまい。ソファが一つ。ということは、この部屋はシングルユース向けなのか。窓の外、向かいのビルはベンツの社屋。


 作業デスクには、電気コード、LANケーブルがある。筆記用具は鉛筆! テレビの左横には青リンゴ。ウェルカム・フルーツだ。


 作業デスクからドアをみる。右はミニバー。茶葉のパックはあったが、湯沸かし器はなかったような…。


 ベッドルームとバスルームの間の洗面所。背中にはクローゼット、そのバス寄りに独立したトイレ。ウォシュレットは付いていない。このクラスでもないのかと落胆。ドイツではついに見かけなかった。


 洗面所とはガラスの引き戸で仕切られており、引き戸とバスタブの間が洗い場になっている。バスタブのシャワーと洗い場のシャワーとの切り替えに戸惑った。バスローブは、このクラスとしては当然でしょう。


■夕食
 市内をさんざん歩き回って疲れ果てた。ソニー・センター周辺を探しても、食欲をそそるレストランは見つからない。雲行きも怪しかったし、ホテル内のレストランとする。
 ドレスコードがある場合に備えて持参したブレザーを着込み、黒のウォーキングシューズを履く。レストランはふたつあるが、鮨に惹かれて VOX へ。


 黒服に案内されてテーブルへ。入り口にレジはない。ドレスコードもなかったが、スーツ姿の客、ポロシャツ・ジーンズの客とカジュアルな雰囲気であった。室内でも冷房が入っており、さすがホテルというべきか。冷房は結構効いており、上着を脱ぐことはなかった。
 席に着いたころ、外はすでに豪雨だった。そんなときでも外で食事をする客がいる。もちろん雨のかからない席でだが。
 ビールの頼んでから、料理を選ぶ。たしか、日本語のメニューをもってきたはず。鮨セットを注文する。スープと前菜がそして鮨だ。ドイツまで来て、サーモンの鮨というのも癪だが、食べたという満足感を味わえた。食べ終わるころになって、「清酒もあるが…」と勧めに来たが、もう満腹だ。友人が「それなら緑茶はないか」と問えば、あるという。急須ごと配膳されたが、茶葉の量が少なく、わが家で言う「出がらし」「素通し」であった。
 それでも満足して、ルームキーで精算。担当者にはコインでチップを渡した(はず)。

■荷物の発送
 翌朝は早めに目覚めたので、予定を早め、08:00前にチェックアウトとなった。
 荷造りをしていて、これまでに集めたパンフ類を先に日本へ送ろうと考えた。覚悟を決めて受話器を取り上げ、フロントを呼び出した。
 I want baggage to send to Japan. Bell captain, please. これでも通じたらしい。だが、相手の言うことは理解できない。部屋へ行くということだけは聞き取れた。ずいぶんと待たされるなぁとイライラしだしたころ、ドアがノックされた。開けると大きな黒人が入ってきた。同室の友人に、朝のあいさつをする。その態度は自然だ。一人だったら、こわかっただろうなぁ。
 パンフや書籍を指して、これを日本に送りたいと伝える。入れ物はないと言うと、ではもってくると戻った。その時に2ユーロを渡す。また待たされて、大きな箱をもってきた。「これに入れて、自分で郵便局へ持って行け」という。「わたしたちには時間がないから、ホテルで発送して欲しいのだ」と友人が言ってくれた。「それなら、この箱をもってフロントへ行ってくれ」、これが彼の応えだった。

 荷物を引いてフロントへ。エレベーター内で荷物をこぼしたりして、かなり周章てていた。
 相手の言葉がうまく聞き取れないのに、チェックアウトと荷物の発送手続とを同時に行うのは至難の業だ。「この荷物をホテルの手で発送して欲しい」と友人が伝えると、年配の男性になにやら書類を示され、これにサインせよと言う。良く読むと委任状だった。つぎにどの輸送会社にするかを聞かれた。候補を挙げてくれるが、クロネコなんて出てこない。困り果てて Post Office というと、それならこれだとDHLの伝票が渡された。わたしの住所は書いた。つぎはホテルの住所。伝票に印字されてない。これも書くのかとウンザリしたとき、「後は書きましょう」と友人が助け船を出してくれた。そしてわたしは、若い女性を相手にチェックアウトの精算をした。
 男性は、委任状と伝票とクレジットカードのコピーを確認し、OKと言った。カードのコピーは送料の精算に使うはず。いくら請求されるか、ホテルを信用するしかない。これで、わたしの帰国よりも早く、荷物は着いているはずだ。
 わたしたちがフロントにいる間に、件の黒人男性がカウンター内を通った。だが、わたしに目もくれなかった。チップ、やらなければ良かった。
 懸案を処理して、安心した気分だったが、暖かい見送りを受けたとは思えない気分のまま、ベンツのタクシーに乗車、Hbf に向かった。地下道を走り、10分弱で到着。

<後日談>
 わたしよりも荷物の方が遅かった。チェックアウトしてから2週間、ついにしびれを切らして、ホテルにメールを打った。「DHLのサイトで伝票番号で検索したが、該当なしとの返答だ。どうなっているのか」と。その翌朝、荷物が届いた。チェックアウトの4日後に発送されていたが、伝票は別の様式のものに書き替えられていた。ホテルの住所は印字されている。伝票番号が違うのだから、DHLで検索してもヒットするはずがない。
 メールに対する返信はいまだにない。本来なら、無事に届いたと一報すべきなのだが。知人に顛末を話すと「ドイツ人の対応は、日本よりレベルが低いけれど、返事がないというのは、ドイツにしてもひどすぎる」という。さらにこうも言った。「あなたのメールの内容をホテル側は理解しているのかしら」と。ようするに、相手に理解できる英語を書いたのかということだ。翻訳サイトにかけて出てきたものを、そのまま送ったのだ。文語体の英語になっていたなぁ。カード会社からの請求書で送料が処理されていたら、もう一度メールを書くつもりだ。この知人に添削してもらって。(09.09.21記)